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台湾渡航に関する注意喚起(窃盗事件の加害者にならないために)

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 2019年のゴールデンウィークの期間中、ある邦人が家族及び友人家族と台湾を観光で訪れている際に、実害のない軽微な窃盗事件の加害者として警察に身柄を拘束され、家族等は先に帰国したものの、同邦人は帰国するまでに約1か月間を要するという事案が発生しました。
 台湾に観光等で渡航される皆様にあっては、以下の内容を踏まえ、窃盗事件の加害者とならないように十分に留意してください。

1 事案概要
 本事案は、邦人らが台北市内のフードコートで2つのテーブルを使って休憩した後、同行者が先に席を離れ、最後に席を立った邦人が自分たちの座席付近の忘れ物の有無を確認した際に、上記テーブルに置いてあったバッグ及び折りたたみの傘が同行者の忘れ物であると考え、これらのバッグ等を持ち上げて先を行く同行者に忘れ物がある旨を呼びかけながら歩いていたところ、バッグ等の持ち主(以下、台湾人「A氏」とする。)に急に引き留められ、そのA氏が「バッグ等は私の物である」、「あなたは盗みを犯した」等と大声を出したものです。邦人は、その場でバッグ等から手を離すとともに、同行者の荷物と似ていたので勘違いした旨を説明しながら繰り返し謝罪しましたが、A氏は現場にいた周囲の者の説明にも耳を貸さず、被害申告のために警察に通報すると主張しました。邦人及び同行者は臨場した警察官に事情を説明して誤解である旨の説得を再度試みたものの、A氏が被害申告の意思を強く示したことから、警察官は窃盗の罪で邦人の身柄を拘束し、検察に送致しました。邦人は、A氏が被害を申し立てた現金を所持していないことを身体検査及び所持品検査で確認してもらっていたので、邦人らは誤解が解けてすぐに帰国できるものと考えていましたが、検察に送致された結果、同日中に釈放されたものの、同邦人には出境禁止処分が課せられました。逮捕から約2週間を経て検察官による取調べが行われましたが、その後も刑事処分は示されず、邦人は弁護士を選任して担当検察官に強く働きかけた結果、ようやく不起訴処分の連絡があるとともに、弁護士が並行して出境禁止処分の解除を申請していたことから、邦人は身柄拘束から約1か月が経過して日本に帰国することができました。

2 台湾当局への対応
 台湾では、警察が自らの権限で事案を処理するのではなく、警察から事件送致を受けた検察官の指揮の下に事案の真相解明を行うこととされています。一般的な手続として、警察が加害者の身柄を拘束して検察に送致した後、検察官は引き続き勾留するか否かを判断し、勾留しないと判断した場合でも、台湾外への逃亡を防止し、検察での取調べを確実に行うため、出境禁止処分を課すことがほとんどです。その後、検察官による取調べにおいて、起訴・不起訴が判断され、不起訴処分が出された場合、検察官の判断により出境禁止処分が解除されることとなります。
 本事案では、A氏の強い被害申告の意思により、邦人は警察に身柄を拘束されています。A氏の真意は定かではありませんが、親日的と言われている台湾人の中にも歴史認識、尖閣諸島等の問題について様々な考えを持つ人もいるほか、「邦人には裕福な者が多い」との考えから何かしらの理由を付けてお金を要求する者もいることから、台湾滞在中の言動には十分な注意が必要です。
 また、台湾の検察官は数多くの事件を常時抱えているとされ、各事件の処理は担当検察官の裁量及び判断に委ねられています。担当検察官が台湾に来た観光客であることを考慮し、早期の事案処理を行う場合もあれば、本事案のように、台湾に長く滞在することができない観光客であることを全く考慮せず、自らのペースで他の事案処理を優先する場合もあります。これら検察官に対し、専門的な法的知識を用いて刑事手続を支援することができるのは弁護士だけです。万が一、皆様が事件の加害者になってしまい、早期の事案処理や出境禁止処分の解除を望まれる場合には、起訴前の段階であっても弁護士を早期に選任することをお勧めします。日本台湾交流協会のホームページでは、「日本語可能な弁護士が在籍する法律事務所リスト」を掲載していることから、是非参考としてください。

3 所持品の管理の徹底
 日本製品等が簡単に手に入る台湾では、皆様の所持品と同じ物又は似ている物を持っている人に出会うことも多々あります。特に、レストラン、フードコート等は、広いスペースに座席が多く設けられ、座席の間隔が日本よりも近く、見ず知らずの他人と相席になることも多く、所持品の管理には一層注意する必要があります。過去には、邦人が店のトイレで他人の化粧ポーチを自分の物と勘違いして持ち去った事例もありましたが、邦人が検察の取調べにおいて被害者に弁償するという和解の形で事件処理がなされています。さらに、到着空港のターンテーブルで他人のスーツケースを自分の物と思い込んで持ち去ってしまうことは、旅行の際によく起こるトラブルの事例です。皆様におかれては、自分の所持品には分かりやすい目印を付けておく、同行者と一緒に忘れ物がないかどうかを確認するなど、所持品の管理を徹底するように心掛けてください。
承認:エディタ