はじめに
皆さま、新年明けましておめでとうございます。
台北事務所派遣員の三田村です。
2021年の幕開けとなりましたが,皆さま年末年始はどのように過ごされましたか?
お正月と言えば、おせち料理を食べて、新年を迎えた方も多いのではないでしょうか。
おせち料理には、紅白の組み合わせをしたかまぼこや、金運上昇の意味のある卵料理、また「腰が曲がるまで長生きするように」と健康長寿を願って、「エビ」などが入っていますね。
ご存知の方も多いかもしれませんが、台湾では、レストランや台湾式居酒屋「熱炒(rè chǎo)」で、エビ料理の種類も多く、「エビ」は台湾の方にとって、ソウルフードと言っても過言ではありません!
そんな台湾の人々に愛される「エビ」ですが、実は食べるだけでなく、「エビ釣り」という、庶民派娯楽として親しまれていることを、皆さんご存じですか?
本日は2021年最初の投稿ということで、縁起を担ぐ意味も込め、「エビ釣り」についてご紹介したいと思います!
台湾エビの養殖産業の歴史
今では、台北市内のあちこちで見られるエビ釣りですが、その歴史を辿っていく上で、まず、台湾における、エビの養殖産業の歴史を見ていきたいと思います。
台湾でエビの養殖産業が始まった頃、まだ、養殖用のエビ(種苗)を培養する技術がなく、エビは全て海から捕ってきたものでした。
しかし、このような方法だと、エビの量産は増えない一方…
この状況を大きく変えたきっかけが、1968年、廖一久氏による、世界初「ウシエビ」の人工種苗生産でした。
その後、台湾エビ(ウシエビ)の養殖生産量は、世界一を目指しながら、庶民派レストランでも、ウシエビを使った料理が振る舞われるようになりました。
その後も、台湾では、次々と何種類ものエビ(種苗)の人口培養に成功してきましたが、これらのエビは全て塩水が必要なエビで、養殖場も海の近くに開く必要がありました。
もし淡水(真水)で養殖するなら、養殖場の開設場所に制限がなくなるのですが、真水で養殖したエビは小ぶりなため、エビ養殖業の発展には繋がりませんでした…。
そこで、台湾は国外の淡水エビ、特に「タイ」のエビに注目してみました。
タイの淡水エビは、他の種類の淡水エビよりも大きく,既に世界のエビ市場では比較的高価な値段で取引されていました。
タイのエビの正式名称は「淡水長臂大蝦(dàn shuǐcháng bì dà xiā)」といって,日本では「オニテナガエビ」とも呼ばれています。(以降、タイの淡水エビを「テナガエビ」と説明させていただきます)
1970年、台湾もこのテナガエビの種苗を手に入れ、翌年にはテナガエビの人工培養に成功しました。
その後、テナガエビは次第に、台湾各地へ広まっていきます。
釣り専門に転身!台湾育ちのテナガエビ
そんな、タイ生まれ・台湾育ちのテナガエビが広まり始めた頃、実は、状況はあまり良いものではありませんでした。すでに、先ほど紹介した「ウシエビ」が、台湾エビ市場で確固たる地位を築いていたためです。
そこで、台湾育ちのテナガエビを、何とか浸透させるために方法はないか…と考えたところ、「釣り専門のエビ」として売り出すことを、思いつきました!
その後、1980年頃から、次第にエビ釣りブームが始まりました。
多くが、まずは郊外の私用の池から始まり、その後は夜市の中の小さな屋台、そして屋内のエビ釣り場へと、徐々にエビ釣り場も拡大していきました。
また、エビ釣り場にはゲーム機等も設置され、エビ釣りをしつつ、ゲーム機でも遊ぶ、といった二通りの楽しみ方も主流でした。
一見、非常に素朴な娯楽に感じる「エビ釣り」ですが、台湾経済が迅速に発展したこの頃、忙しい人々の生活の中で、手軽にできる良い気晴らしとして、人気に火が付いたのかもしれません。
また、エビ釣りブームが巻き起こったことで、同時に、テナガエビの養殖業も軌道に乗り始めました。
台湾のエビ釣り場の多くは、台湾南部から発展してきたと言われており、屏東の高屏渓一帯の農地の多くは、次々とテナガエビの養殖場に変わっていきました。
(▼筆者作成図)
海老釣り体験記
ではここで、私が以前行ったエビ釣りについて、体験記と題してレポートさせていただきます!
まずは受付で、何時間コースのエビ釣りをするか選びます。(1時間、2時間…など)
私が行ったところは、公蝦(gōng xiā:オスエビ)と母蝦(mǔ xiā:メスエビ)が混合のいけすでしたが、中には公蝦池と母蝦池に分かれているところもあります。
そして受付で釣り竿と餌のセット、捕獲用の網を受け取り、これで準備は完了です。
いざ、いけすへ向かいます!
▼釣り竿に餌となる桜エビを取り付けますが(エビがエビを餌にするのも面白いですね ^_^ )、なかなか餌を取り付けられず一苦労…
釣り糸も非常に細く繊細なので、絡まらないように注意が必要です。
▼そして、釣り竿をいけすの中へ。気長に待ちましょう。
▼「本当にエビはいるのか…」と疑っていたそのとき、やっとエビがかかりました!
思った以上にエビの食らい付きが強く、引き上げには気合が必要でした。
▼無事釣ったエビを取るのに手間取っていると、隣に居た親切な方が手伝ってくれました。
困っている人が居ると、さっと手を差し伸べてくれる、台湾の人の温かさにジーンとします…
▼無事捕獲したエビは、竹串に刺し、専用の大型オーブンで塩焼きにしてその場で食べることができます。
台湾でエビ釣りが流行し始めた頃は、小さな炭火焼き器が主流だったようです。
▼食べるときに、少しだけ心苦しい気もしましたが、身がふっくらしており非常に美味しかったです!
この日は注文しませんでしたが、釣ったエビ以外にも、他の海鮮料理のメニューなどもありました。
おわりに
いたってシンプルな庶民派娯楽ですが、エビを待っている間にボーッとしたり、家族や友人と一緒に行ってワイワイ楽しんだり、とても良いリフレッシュになると思いました(^_^)
今後も、台湾の人々に親しまれているものなどについて紹介させていただきます!
ここまでご拝読いただき、ありがとうございました!
このブログを書いたのは…

三田村康夏・台北事務所派遣員
好きな台湾グルメは,臭豆腐,鴨血,水蓮の炒め物