経済部統計処は4月25日、最新の工業生産動向を発表した。これによると、3月の工業生産指数は139.02、前年同月比+2.15%となり、製造業生産指数は142.03、前年同月比+1.95%と両方とも26ヶ月連続のプラス成長となり、指数として同月で過去最高となったものの、年増率では過去22ヶ月ぶりの低水準となった。これは主に、化学原材料及び基本金属業を中心となる一部の業者が3月3日に発生した大規模停電の影響を受けたことによるものである。第1四半期の工業生産指数は130.96、前年同期比+6.4%となり、製造業生産指数は133.78、前年同期比+6.5%と両指数とも同期で過去最高となり、11四半期連続のプラス成長となった。
業種別についてみると、情報電子産業について、3月の電子部品業は前年同月比+3.78%と29ヶ月連続のプラス成長となり、製造業生産指数の成長に大きく寄与した。このうち、積体電路業生産指数は202.64、前年同月比+2.37%と29ヶ月連続のプラス成長となり、指数として同月で過去最高となった。企業によるデジタルトランスフォーメーションの加速がクラウドサービスへの需要増をもたらし、加えてサプライチェーン分断問題の緩和、受注の遅延生産、中国のロックダウンによる一部の業者が振替受注を受けたことから、パソコン電子産品及び光学製品業は219.44、前年同月比+26.09%と指数として過去最高となった。
伝統産業について、川下の防疫商品への需要減少、一部工場の定期点検による稼働停止、3月3日に発生した大規模停電により、化学原材料業は同▲8.22%となった。基本金属業は同▲5.56%となった。機械設備業は、半導体業者による生産規模の拡大、5G関連産業、自動化設備等への受注増加により、143.21、同+9.55%と指数として同月で過去最高となった。黄偉傑・経済統計処副処長は、「一部の化学原材料工場が受けた停電の影響日数が1~2日間となり、川上産業に集中して大きく影響を受けた。基本金属業も定期点検及び停電の影響を受けた。化学原材料業及び基本金属業は昨年12月から4ヶ月連続のマイナスとなり、定期点検による稼働停止及び停電の影響を排除しても引き続き減少する場合、国際貿易の需要緩和が域内産業に影響を与えたことを反映するだろう」とみている。
今後を展望すると、黄・副処長は、「企業のデジタル化への持続的な転換、高速演算、IoT、自動車用電子機器など応用チップへの需要増加、加えて国内半導体業者による生産規模の拡大などは台湾製造業の増産を押し上げるものの、新型コロナ変異株の感染拡大、ロシア・ウクライナ戦争、中国のロックダウンなど不確定要素の影響が存在し、サプライチェーンの分断及び世界的なインフレ圧力を増加させる恐れから、生産面への影響に引き続き密切に観察・対応すべき、4月の製造業生産指数は前年比+5%~+8.2%となる見込み」との見方を示した。
経済部の担当者は、「新興テクノロジー技術の応用及び企業のデジタル化への持続的な転換は半導体への需要増加をもたらすものの、昨年製造業の基準値が高く、また、一部の産業が3月3日の大規模停電の影響を受けたこと、及び定期点検による稼働停止などは成長幅に影響を与えた」とみている。
工業生産指数の前年比伸び率(製造業業種別)