中央銀行5 月24日、最新のマネーサプライを発表した。これによると、4月のM1Bの対前年比伸び率(期中平均ベース)は+9.81%と過去22ヶ月の最低となった。一方、M2の対前年比伸び率(期中平均ベース)は+8.12%に上昇し、両者の差は1.69%ポイントに縮小し、過去50ヶ月で最小の差となった。1月~4月のM1B及びM2の対前年比伸び率はそれぞれ+10.82%、+7.94%となった。個人投資家の資金動向を表す証券振替決済預金残高は前月比945億元減少の3兆46億元と過去12年間で最大の減少幅となった。これは主に、劇的な株価変動により、自然人(個人投資家)の投資姿勢が模様眺めとなったことによるものである。
4月のM1Bの対前年比伸び率の低下及びM2の上昇について、中央銀行の担当者は、「M1Bの対前年比伸び率の低下は主に普通預金の伸び悩み、M2の対前年比伸び率の上昇は主に銀行貸出及び投資年増率の上昇によるものである。」と説明した。
4月の普通預金は前年同月比+8.52%と一桁の成長に低下した。一方、定期預金残高は前月比1.847億元増加の15.22兆元と過去最高額を更新した。これについて、中央銀行の担当者は、「普通預金の減少は主に、株の取引高及び金額とも減少し、中央銀行による政策金利の引上げにより、民衆が資金を普通預金から定期預金にシフトしたこと、証券振替決済預金残高の減少によるものである。定期預金の増加は普通預金からのシフト、企業による現金配当を一時的に定期預金にストックし、銀行による高金利預金優遇措置の打ち出しによるものである」と述べた。
4月の外貨預金は前月比2,220億元増加の7兆8,644億元と過去最高額を更新した。中央銀行の担当者は、「輸出の活況(二桁の成長)による企業海外収益増加の域内送金、国際的な劇的な株価変動により、個人投資家及び企業が普通預金からのシフト以外に、海外収益、売上、貸付、株利益額の域内送金、台湾元レートが下がったことによる外貨預金へのストック、銀行による外貨預金高金利策の効果によるものである」と説明した。
外資が大幅に株売り越したものの、4月の外国人による台湾元建て預金残高は前月比177億元の増加、前年同月比+13.05%となった。中央銀行の担当者は、「これは外資が大幅に株を売出したのち、一部の資金は海外に送金したが、一部は(台湾域内の)口座にストックしたことによるものであり、基本的に外資による大幅な海外送金があれば、逆の流れの域内送金もある」と述べた。
4月の証券振替決済預金残高が明らかに減少したことは、主に4月の株価指数が劇的に変動し、特に米科学技術銘柄の暴落に伴う台湾株価指数の下落により、自然人(個人投資家)による株式投資は3月に続き保守的となったことから、4月の個人投資家による株式投資比率は60.1%と過去25ヶ月の最低となり、昨年7月の74.7%(11.5年ぶりの最高)を下回った。4月の外資による株売越し額が2,595億元となったものの、外資の株式投資比率は1.3%ポイント上昇の29.7%となった。
4月の株価指数は1,101ポイントの暴落となり、月平均の株価指数は17,000ポイント台を割り、日次平均の株式取引高も3,000億元台を割った。市場の予測では、5月の証券振替決済預金残高は3兆元を割る可能性が高いと見込まれている。
(注)
*M1A:通貨発行額。企業・個人(非営利団体含む)の当座預金および流動性預金残高の総額。
*M1B:M1aに個人の非定期性積立預金残高を加えたもの。
*M2:M1Bに企業・個人の定期性預金残高、外貨預金、外国人による台湾元建て預金残高などを加えたもの。
金融動向