中央銀行は4月7日に最新の外貨準備高統計を発表した。これによると、欧米による新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、世界の株式市場が低迷し、主要通貨の対米ドルレートが減価したにもかかわらず、3月末の外貨準備高は前月比7.05億米ドル増加の4,803.85億米ドルとなり、10ヶ月連続で過去最高額を更新した。これは、主に外貨準備の投資収益の増加によるものである。
世界ランキングでは、中国(2月末3.1067兆米ドル)、日本((2月末1.2887兆米ドル)、スイス(3月末7,966億米ドル)、サウジアラビア(2月末4,397億米ドル)の順となっており、台湾は5位を維持している。台湾の貿易のライバルである韓国の3月末の外貨準備高は前月比90億米ドル減少の3,989億米ドルと減少幅が過去最大となった。これは、主に1月及び2月の外資による株式・債券保有額(時価ベース)、及び、韓国ウォン預金の残高合計が韓国の外貨準備高に占める割合がそれぞれ149%、138%と高かったことによるものである。
顔輝煌・中央銀行外為局長は、「3月の外貨準備が増加した原因は、主に外貨準備の投資収益の増加によるものである。国際的に3月の米ドル指数が+0.93%増価したため、主要通貨の対米ドルレートは、ユーロ+0.68%、日本円+1.55%となった以外、人民元▲1.09%、イギリスポンド▲4.67%、オーストラリアドル▲6.06と多くが減価し、米ドル換算後の資産価値は総じて減少したものの、外貨準備の投資収益の増加を受けて外貨準備高は微増となった」と説明した。
楊金龍・中央銀行総裁は立法院の答弁において、「外貨準備の資産配分は国際金融情勢に応じて随時調整しており、新型コロナウィルスの感染が拡大して以降、米ドルの保有比率を80%まで高め、次いで、ユーロ(5%)、人民元、日本円、イギリスポンド、オーストラリアドルの順となっている。為替相場が大きく変動した場合、米ドルベースの外貨準備高は主要通貨の対米ドルレートの変動を受けて増減する」と述べた。
3月の株価指数の▲14.7%の下落(1,584ポイントの下落)を反映して外資による株売越し額が3,768億元となり、また、外資の海外送金額が20億米ドルとなったことから、3月の外資よる株式・債券保有額(時価ベース)、及び、台湾元預金残高の合計は、前月比699億米ドル減少の3,505億米ドルと過去14ヶ月で最小額となり、外貨準備高に占める割合は73%に低下し、過去15ヶ月の最低となった。
新型コロナウィルスの感染が世界的に急速に拡大し、株式及び為替市場に大きく影響している。外資が新興市場から次々と流出したものの、世界経済の先行きが不透明なため、台湾の生保が大量に投資していた海外ETFをリスクヘッジのために売却し、資金を国内に送金したため、台湾元レートの安定が確保された。3月の台湾元レートは+0.25%の増価となり、主要通貨の対米ドルレートに比べて強さを見せた。
外貨準備高・為替レートの推移[PDFファイル]