行政院主計総処は、6月8日に最新の物価調査結果を発表した。同調査によると、5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+2.48%と過去99ヶ月で最大の上昇幅となった。
曹志弘・総合統計処物価科長は、「5月の消費者物価が過去99ヶ月で最大の上昇幅となった原因は主に、昨年新型コロナウイルス感染拡大の影響による基準値が低かったこと(▲1.2%)によるものであり、インフレではない。昨年のデータによれば、基準値が低いことの効果は6月から漸次に縮小し、なくなる見込み」と述べた。
5月の価格調査項目のうち、価格上昇項目は7割となり、そのウェイトが全体の8割超と占めたことはインフレ圧力の上昇ではないかについて、曹科長は、「価格上昇項目が7割となったものの、上昇幅が3%超となった項目は僅か2割(加重値14%)となり、2008年1回目のインフレ上昇率(2007年8月に上昇幅3%超が3割、加重値20%)に比べて、足元の物価動向は緩やかである。昨年5月の消費者物価は2020年において最大の下落幅となり、基準値が低くなったことは今年5月の消費者物価の大幅増(+2.48%)をもたらした。直近2年間の5月の消費者物価平均は同期比+0.62%となっていることからも、今回の消費者物価の大幅上昇は昨年基準値が低かったことによるものであり、インフレではないことを反映している」と説明した。
ここで注意すべきことは、基準値が低いことによる効果が次第に薄く、世界景気の回復に伴い、国際原油価格、農工原材料価格の上昇により、業者の生産コストが増加することから、業者のコストを計る5月の卸売物価(WPI)は前年同月比+11.33%と過去154ヶ月で最大の上昇幅となった。このうち、輸入物価(台湾元ベース)は前年同月比+13.24%と過去153ヶ月以来最大の上昇幅と両方とも2008年金融危機発生前のインフレ以来の最高となった。
曹科長は、「最近の物価上昇は主に、業者による販促の中止によるものであるが、国際農工原材料価格の持続的な上昇は、業者の生産コストの増加をもたらし、今後、上昇基調が持続した場合、業者は販促実施を減少させるだけではなく、販売価格を上昇させることもありえることから、物価全体は下半期において大きな上昇圧力に直面しかねない。統計総処の予測によれば、下半期の物価は+2.0%と上半期の+1.4%を上回ると見ており、今後の物価動向を引き続き注意深く観察する」と述べた。
物価動向