中央銀行は7月24日、最新のマネーサプライを発表した。これによると、株式市場の活況、外資による株買越し額の大幅増(841億元)により、6月のM1b及びM2の対前年比伸び率(期中平均ベース)はそれぞれ+9.90%、+5.42%と過去6年半、過去4年半で最高となった。1月~6月の累計では、M1b及びM2の対前年比伸び率はそれぞれ+7.81%、+4.53%となり、マネタリーベースは前年比+7.39%と昨年同期(+6.39%)を上回った。
これについて、中央銀行の担当官は、「これは、潤沢な資金供給と流動性、株式市場のファンダメンタルズの堅調さ、経済面への高いマインド、高い投資利回りなどが内外資の投資を吸収し、株取引の活況の継続につながっていることを反映している。また、6月のM1b及びM2の対前年比伸び率が上昇したことは、主に資金の大量流入、貸出・投資の大幅増によるものである。また、金融監督管理委員会の統計によると、6月の外資純流入額が41.34億元米ドルとなり、銀行の政府部門及び民間部門への債権の増加、上場・店頭会社による株現金配当の支給などにもつながっている。このうち、政府部門への債権の増加は、主に新型コロナウィルス感染の影響を受け、政府が国税収入を1ヶ月延長し、銀行の借入で対応したことによるものである。これらの要因はM1b及びM2の対前年比伸び率の上昇を大きく押し上げた」と説明した。
台湾の防疫策が成功し、潤沢な資金供給、低利効果などにより、6月の株式市場は679.08ポイントの上昇となった。中央銀行の統計によると、6月の月平均の株価指数は11,490ポイントとなり、日次平均の株式取引高は1,839億元と過去最高を記録した。
中央銀行の担当官は、「外資、国内投資信託法人、個人投資家とも株式市場に積極的に投資しており、うち個人投資家の証券投資動向を反映する6月の証券振替決済預金は前月比259億元増加の2.35兆元となり、8ヶ月連続して過去最高を記録した」と述べた。
6月は、個人投資家による株式投資比率が61.7%と5月(63.46%)を下回り、外資による投資比率は25.5%と5月(26.3%)を下回った。これについて、中央銀行の担当官は、「これは主に、国内投資信託法人の投資比率が12.8%(5月10.3%)に上昇したことによるものである。一方、個人投資家の株式投資比率について、昨年は7月、及び12月しか6割超とならなかったことに対し、今年は毎月6割超となった」と述べた。
株式市場の活況により、6月の全体の普通預金残高は前月比1,492億元増加の17.92兆元、前年同月比+9.69%と金額として引続き過去最高を更新した。中央銀行の担当者は、「これは主に、株式市場の活況や利下げは普通預金の増加につながるほか、個人や法人は投資の機会を狙い、資金を調達度の高い普通預金にシフトしたことによるものである」と述べた。
6月の外貨預金残高は6.41兆元と過去最高額となり、前年同月比+11.41%と2年4ヶ月で最大の増加幅となった。これは主に、企業による外貨借入の増加、海外投資収益の国内送金、元高ドル安による米ドルの購入増加によるものである。
(注)
*M1a:通貨発行額。企業・個人(非営利団体含む)の当座預金および流動性預金残高の総額。
*M1b:M1aに個人の非定期性積立預金残高を加えたもの。
*M2:M1bに企業・個人の定期性預金残高、外貨預金、外国人による台湾元建て預金残高などを加えたもの。
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