行政院主計総処は、10月6日に最新の物価調査結果を発表した。同調査によると、燃料費、食物価格の上昇、及び中秋節の影響により、9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+2.63%と2013年3月(8年7ヶ月)以降で最大の上昇幅となった。エネルギー及び青果類を控除したコア物価は前年同月比+1.74%と過去43ヶ月で最大の上昇幅となった。行政院物価安定チームが注視している17項目の重要民生物資料は前年同月比+3.31%と直近36ヶ月で最高となった。
曹志弘・主計総処総合統計処専門委員は、「9月の消費者物価が上昇した原因は主に、中秋節による諸費用(例えば:保育費、国内旅行代金の値上がりなど)、燃料費、航空券の大幅上昇によるものである。中秋節の季節要因を控除した(昨年は中秋節が10月だった)9月の消費者物価は8月と横ばいとなり、足元ではインフレの懸念はないとした。最近、各国のカーボンニュートラル意識の高まりによる石炭からガスへの転換は、ガス価格を押し上げたほか、石炭、石油価格も大きく上昇したことから、輸入価格(米ドルベース)の前年同月比では過去数ヶ月連続して+20%超と過去10年で最高となった。ここで注意すべきことは、最近の国際石油価格が80米ドル超まで上昇し、域内インフレ圧力を押し上げる見込み」と述べた。
輸入インフレ圧力の持続的な上昇について、曹・専門委員は、「政府は石油、電気代の値上がりによる物価への影響を考慮し、適宜に値上げ幅を緩めたり、凍結したりすることで、CPIへの寄与度が2割を占める公共料金に影響を与えるため、物価上昇の緩和にプラスとなるものの、残りの8割程度の消費者物価は国際エネルギー価格の直接或いは間接的な影響を受けており、その影響の程度は市場の競争及び需給の変化次第であるが、引き続き観察する必要はある」と述べた。
9月の輸入物価(米ドルベース)は前年同月比+19.95%、輸出物価(米ドルベース)は同+15.0%、国内販売価格は同+14.9%となり、三者を合計した卸売物価(WPI)は前年同月比+11.96%となった。曹・専門委員は、「過去、卸売物価が+10%超となった2008年には国際石油価格が1バレル=140米ドル超となった。全体でみると、足元では、インフレ発生の懸念はないものの、国際エネルギー価格の暴騰や輸入物価の上昇に伴い、域内におけるインフレ圧力が漸次に上昇し、深く注意を払うべき」とみている。
物価動向