中央銀行10 月24日、最新のマネーサプライを発表した。これによると、9月のM1Bの対前年比伸び率(期中平均ベース)は+6.58%と直近3年半での最低となり、M2の対前年比伸び率(期中平均ベース)は+6.83%と直近2年での最低となったほか、再びデッドクロス(M1bがM2を下回り、資金不足による株価暴落を引き起こす可能性がある状態)に転じた。
M1B及びM2の対前年比伸び率は7月に4年半ぶりのデッドクロスとなり、8月に「ゴールデンクロス」(株式市場資金の潤沢を表す)に好転したが、9月は再びデッドクロスに転じた。金融関係者は、「直近のM1B及びM2の伸び率はねじれ状態と安定しておらず、デッドクロスに転じたことは株式市場の動向に不利となる」と指摘した。中央銀行の担当者は、「中銀による利上げ効果、株式市場の低迷、法人及び個人の資金が定期預金及び貯蓄預金にシフトしている。統計によると、9月の普通預金残高は前月比3,866億台湾元減少の22兆5,973億台湾元、前年同月比はわずか+4.89%と直近4年での最低となった。一方、9月の定期預金残高は前月比351億台湾元増加の15兆3,793億台湾元と過去最高額となった」と述べた。
M1Bは普通預金及び株式市場動向と深い関連性があり、M2は定期預金及び外貨預金の変動を反映しているが、中央銀行の担当者は、「法人及び個人の資金調達ルートは多元化、かつ移動速度も速く、加えて基準値などの効果もあり、年増率変動の大きな原因となる。すなわち、過去におけるM1B及びM2両者の差という(いわゆるデッドクロスかゴールデンクロス)指標の参考価値はなくなりつつある」とみている。
9月のM1B及びM2の対前年比伸び率はそれぞれ▲0.97%ポイント、▲0.1%ポイント下落したことについて、中央銀行の担当者は、「これは主に、9月の外資による元本の純出額が57.69億米ドルと8月(54.54億米ドル)を上回ったことによるものである。1月~9月のM1B及びM2の対前年比伸び率はそれぞれ+8.93%、+7.56%となった。今後M2の年増率は中央銀行の目標範囲内2.5%~6.5%に戻る見込み」との見方を示した。
9月の外貨預金残高は前月比4,929億台湾元増加の8兆3,780億台湾元と8兆台湾元の大台を突破した。中央銀行の担当者は、「9月の輸出及び輸入とも減少したものの、貿易黒字は引き続き拡大し、外貨の純収入は増加しており、特に米ドルレートの切上げにより、業者は米ドルの所有に傾いているほか、手元の台湾元を米ドルに両替している」と述べた。
(注)
*M1A:通貨発行額。企業・個人(非営利団体含む)の当座預金および流動性預金残高の総額。
*M1B:M1aに個人の非定期性積立預金残高を加えたもの。
*M2:M1Bに企業・個人の定期性預金残高、外貨預金、外国人による台湾元建て預金残高などを加えたもの。
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