皆さま、こんにちは!
台北事務所の三田村です。
早いもので、8月も中旬に差し掛かろうとしています。台湾では、むわっとした熱気を感じる、蒸し暑い日々が続いています。
台湾では今年5月上旬頃から、新型コロナウイルスの域内感染者数が急増し、外出自粛や店内飲食の一律禁止等、市民や企業などに対して、様々な厳しい制限措置が取られていました。
ピーク時は、1日に3桁台であった感染者数も、現在は、台湾政府と市民の努力のおかげで大幅に減少傾向にありますが、依然として徹底した感染防止対策が取られています。
「台湾のコロナ対策はどんな感じ?台湾在住日本人が解説!」
https://www.koryu.or.jp/about/taipei/staffblog/?bid=26&dispmid=6697&bkid=2197
なかなか自由に外出もできず、家と職場の往復の毎日に、少し鬱々とした気持ちになる中、密かな心のオアシスがありました。
それは通勤路の道端に咲く、花々です✿
特に今の時期、街中で見かける花々は、どれもトロピカルで色鮮やかです。
▼台湾の夏を代表する花のひとつ、「矮仙丹(日本語名:サンタンカ)」
紫陽花のように、小さな花が集まって、丸く咲く姿が特徴です。
▼花の色が3回変わると言われている「使君子(日本語名:シクンシ)」
咲き始めは白色、やがてピンク色になり、最後は深紅色に変わります。
▼「長春花(日本語名:ニチニチソウ)」
台湾の気候と相性が良く、年中開花することから「日々春」とも呼ばれます。
他にも、台湾で咲く花は、料理やお茶として楽しまれることも多いんです!
▼金針花(日本語名:キンセンカ)のスープ。シャキシャキした食感が特徴的です。台湾の市場や乾物屋で、食用として売られていることも多く、台湾の人々に馴染み深い花です。
金針花には、ビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富に含まれていて、特に鉄分はホウレンソウの20倍と言われています!
▼台湾東部の花蓮や台東は、金針花の主要産地となっていて、食用の金針花が栽培されているほか、例年8~9月にかけては、金針花畑の鑑賞イベントも行われています。(2021年は新型コロナウイルスの影響のため、延期や中止になっている場所もございます)

(場所:花蓮赤科山/写真提供:一位愛旅遊的台灣同事)
※ちなみに、観賞用の金針花の多くは毒があり、摘み取って食べられませんので、ご注意ください!
▼苗栗銅鑼の杭菊茶。苗栗の杭菊は、お茶を淹れても花びらが満開になるのが特徴です。
杭菊のお花だけで、こんなに柔らかい黄緑色になります。口当たりもとてもまろやかで、飲むと心がほっこり、落ち着きます。
▼例年10~11月の栽培の時期になると、鑑賞イベントも開催されています。(2021年は新型コロナウイルスの影響のため、延期や中止になっている場所もございます)

(場所:苗栗銅鑼/写真提供:一位愛花的台灣同事)
台湾は、北回帰線をほぼ挟んで北部は亜熱帯、南部は熱帯に属しており、季節でみると、春~夏は高温多湿、秋~冬でも温暖な気候帯になります。
そんな、気温が高く、湿度の多い(亜)熱帯の環境下で鍛えられた台湾の花々、どれも生命力に溢れていて、眺めていると、元気がもらえます!
そこで今回は、今まで訪れた場所で、思わずシャッターを切ってしまった花々から、「ハッと目を引く~台湾を素敵に彩る花々5選~」と題して、台湾で咲く花々について紹介させていただきたいと思います(^_^)
※今回ご紹介する花は、あくまで、著者が個人的に台湾全土、または一部地域でよく見かけると感じる花です。台湾原生種のものではなかったり、他国でもよく見かけられる可能性もありますが、ご理解いただけますと幸いです。
1.馬纓丹(日本語名:ランタナ)
初めて見かけたときに、その奇抜さとチャーミングな風貌に、思わず立ち止まってしまいました。
原生地は南アメリカや西インド諸島と言われていますが、1645年頃、オランダから台湾に持ち込まれて以降、高温多湿な台湾の気候と相性が良く、あちこちで見かけられるようになりました。
1つのランタナの花の中で、花びらの色が白、黄、オレンジ、ピンク、赤・・・とコロコロ変わる様子から、日本には「七変化」という別名もありますが、台湾では、「發瘋花(発狂花)」という、少しドキッとしてしまう別名もあります・・・!
というのも、このランタナの花、生命力がとても旺盛で、過酷な環境下でも次々と花が咲き、他の植物を負かしてしまうことから、台湾では要注意外来種のひとつとも言われています。

(撮影地:高雄市駁二藝術特區付近)
他にも、台湾では多くの別名が付けられています。例えば、ランタナの花には、蜜が豊富に含まれており、ミツバチや蝶々が好む花のひとつですが、茎や葉の部分には毒が含まれていて、鼻の奥がツン、と塞がれてしまうような香りがすることから、「この香りを嗅ぐとめまいがする・・・」と、「頭暈花(めまい花)」と呼ばれることもあります。
可愛いルックスとは裏腹に、少しヒヤヒヤしてしまう特徴もありますが、それでも、街中で見かけると、思わず立ち止まって眺めてしまう、魅惑的な花です。
2.鳳凰木(日本語名:ホウオウモク)

花びらを目一杯広げて咲く姿が可愛らしい、鳳凰木。かつては、台湾南部の都市・台南の市花にも指定され、「鳳凰城」とも呼ばれるほど、昔から、台南の街を鮮やかな赤色で彩ってきました。
▼撮影地:台南市「四草緑色隧道」の川下り体験にて。遠くからでも、一際存在感を放っていました。

この鳳凰木は、1896年頃、日本から大量の苗木が持ち込まれた後、道路や運河沿いの道、公園など、街中のあちこちで鳳凰木が植えられ、台南の人々に親しまれてきました。
また、この鳳凰木が満開を迎える5~6月と、台湾の卒業式シーズンが重なることから、「鳳凰花開、驪歌響起」(:鳳凰木の花が咲き、別れの歌が響き渡る)という言葉もあり、
台湾の学生にとっては、青春のシンボルにもなっています。情熱的な赤に色付いた、はつらつとした鳳凰木に見送られると、新しい進路先でも頑張っていこうと、勇気をもらえそうです。
3.台湾紫珠(日本語名:ホウライムラサキ)

(撮影地:宜蘭鳩之澤自然步道)
台湾原産種でもある台湾紫珠。写真は、既に開花を迎えたもので、花びらから雄しべと雌しべが飛び出た様子が、個人的には線香花火みたい、と思ったのですが、台湾の人々には、カニが白く泡を吹く様子に似ていると、「螃蟹花(:カニの花)」とも呼ばれるそうです。
英語名では「Formosan Beautyberry」と呼ばれていますが、こちらから連想できるように、花びらが開花し終えた秋頃には、艶やかでジューシーな紫色の実をつけ、メジロなどの鳥類が好んで食べるそうです。まだ、台湾紫珠の実が成った姿に遭遇したことがないので、いつかシャッターチャンスに恵まれるよう、願うばかりです…!
他にも、この台湾紫珠は、古くから人々の生活においても密接な関係があります。台湾原住民・パイワン族の人々の伝統的な習慣では、重要な祭事道具として活用されたり、また、腫れ止めや止血の効能があるとして、薬草としても重宝されているそうです。
4.扶桑花(日本語名:ブッソウゲ)

(撮影地:金山獅頭山公園)
ハイビスカスの原種ともいわれている、扶桑花。一年を通して、台湾各地で見かけることができる花です。
スカートのように、花びらがゆらゆら揺れる姿が可愛らしく、扶桑花を見かける度、常夏の島に暮らしているなあと、しみじみ実感させてくれます。
扶桑花は、2010年に行われた「臺北市區花網路票選活動」(:台北市花ネット投票イベント)で、当事務所のある、台北市松山区を象徴する区花に選ばれ、松山区民から愛されている、花のひとつでもあります(^_^)
5.海芋(日本語名:オランダカラー)

ここまで、比較的ビビットな花々を紹介させていただきましたが、最後は、可憐で聡明な雰囲気の「海芋」の花を紹介します。
▼陽明山国家公園の付近に位置する、竹子湖。
「海芋の故郷」とも言われ、例年3~5月の開花の時期になると、「竹子湖海芋季」(:竹子湖カラーフェスティバル)が開催され、たくさんの人々で賑わいます。

あまり日本では馴染みのない海芋ですが、実は、ここ竹子湖の海芋は、日本とも深く関係があるんです!
日本統治時代、台湾の在来米に食べ慣れなかった日本人が、日本から持ち込んだお米の苗を、ここ竹子湖に植えてみたところ、見事栽培に成功し、後の台湾産日本米とも呼ばれる「蓬莱米」が生産されました。他にも、キャベツなどの高冷地野菜も栽培されていましたが、どちらも他国の外来米や他地域の品種との競争力に乏しい点が弱みでした。
そこで、「何か他に、竹子湖の優良な気候条件を活かせる植物はないか・・・」と考え、1969年、日本から海芋の苗を持ち込み、栽培してみることにしました。すると見事、雨量に恵まれた、冷涼な竹子湖の気候と相性ぴったりで、その後、多くの海芋の花が咲き、海芋畑として、その名が広まりました。今や、竹子湖の春を代表する、花の一つにもなっています。
既に50年あまり、日本からやってきた海芋の花が、今日まで、台湾の人々に大事に育てられ、愛されていることが嬉しいですね。
▼なめらかで、ふっくらした真っ白な花びらからは、可愛らしさを感じられますが、空に向かって真直ぐ伸びる様子からは、凛々しさも感じられました。
おわりに
台湾では、その温暖な気候から、一年を通して、魅力的な花がたくさん咲いています。
今回ご紹介した花は、ほんの一部ですが、台湾に咲く花の魅力について、少しでも感じてもらえると嬉しいです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
このブログを書いたのは…

三田村康夏・台北事務所派遣員
好きな花:向日葵