12月14日、台北市内のホテルにおいて片山和之代表の着任レセプションを開催しました。
片山代表は挨拶のなかで、自身の台湾勤務における考えを述べるとともに、史上最良ともいわれる日台関係は双方の人的・文化交流、経済面における協力等の各方面における交流に支えられている旨述べ、自身のこれからの任期中、よりいっそう「日本ファン」を増やすためにも、全力で尽くしていく決意を述べました。
レセプションには、挨拶に立った蘇嘉全・台湾日本関係協会会長や乾杯のご発声をいただいた鄭文燦・行政院副院長をはじめとする日台の関係者の皆さまにお集まりいただきました。
片山代表の挨拶全文は次の通りです。
鄭文燦・行政院副院長、 蘇嘉全・台湾日本関係協会会長、ご来場の皆様、こんにちは。
本日は私の着任レセプションにお集まりいただき心より御礼申し上げます。
着任してあっという間に1ヶ月近くが経過しました。この間、多くの台湾の方々に温かく迎えて頂き、仕事を順調に開始することができました。
以前は、日本外務省で40年間余り勤務していました。その間、海外では中国に5回、米国に3回、ベルギー及びマレーシアに1回ずつ在勤し、直近は10月までペルー駐箚特命全権大使を3年に亘り務めていました。この度、日本に好感を持つ方が非常に多く、日本と近く且つ深い関係にある台湾に勤務する機会を得たことを大変光栄に存じます。
台湾勤務は初めてですが、過去5回訪れたことがあります。しかしながら最後の台湾訪問は17年前です。振り返れば1986~1987年米国の大学院に留学していた頃、台湾の政治動向に触発されて、東アジア研究の泰斗故エズラ・ヴォーゲル・ハーバード大学教授の下で、台湾の民主化をテーマとした修士論文を執筆した経緯があります。
それから、35年以上が経過して、台湾の民主主義は、多くの選挙を経ながら、たくましく、健全な発展を遂げました。
折しも総統選挙・立法委員選挙を一か月後に控える今、その台湾に着任したことには、運命的なものを感じざるを得ません。
台湾と日本は、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった共通の価値を共有する極めて重要なパートナーです。また、台湾海峡の平和と安定は、日本を含む国際社会の安定に不可欠であり、先日東京で開催されたG7外相会合でも、改めてその重要性を確認しました。
台湾では日本時代のものを含め文化遺産が多くあります。また、伝統文化からポップカルチャーまで、日本の文化が多く受け入れられています。
また、台北の街並みには実に多くの日本語があふれ、人々の生活の中に深く浸透しています。もともと日本語学習者数も多かった台湾ですが、近年では高校生や中学生などの若年層における日本語学習意欲が増大しているようです。若者は次代の主人公であり、私は在任期間中にぜひとも若者たちの日本に対する関心を高め、知日派が一人でも増えるよう努力していきたいと考えています。
現在、台湾には2万人を超える邦人の方が暮らしているほか、観光やビジネス等でも多くの邦人が台湾を訪れています。また、台湾からも多くの方が日本に来られており、9月にはコロナ禍以降初めて過去の訪日者を上回りました。こうした双方の人々の交流が現在の良好な日台関係を支え、強固なものとしています。
世界がコロナ禍に苦しんだ3年あまり、台湾経済は順調な成長を見せており、台湾の半導体製造は、今や世界のサプライチェーンにおいて欠くことのできない重要な地位を確立し、世界は台湾の重要性への認識を強めました。TSMCの熊本県進出など日本と台湾の半導体産業協力も進んでおりますが、私としても双方の産業協力の更なる関係強化に取り組んでまいりたいと考えます。
台湾は、日本にとって極めて重要な経済パートナーであります。台湾がCPTPPへの加入申請を提出したことを日本政府は歓迎しており、引き続き台湾と協力してまいりたいと思います。
赴任中、次の3つの使命を大きな柱として尽力する所存です。第一に、台湾における「日本ファン」を更に増やすことです。第二に、在留邦人・日本人旅行者の安全を守り、日本企業の経済活動等を促進する邦人支援業務です。そして、第三に、私自身が台湾の社会や文化、人々のことを学び、台湾を更に深く広く理解したいと思います。
妻共々いずれ台北のみならず台湾各地に足を運び様々な方々と触れあって台湾社会、そして日本と台湾の関係を考えていきたいと存じます。是非、皆さん方の暖かい御支援をお願いします。
ありがとうございました。