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第7回「一つだけではない、さまざまな日本語」(3月30日)

更新日時

2008年 4月 21日作成

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今回は、真田信治氏(大阪大学大学院教授/東呉大学客員教授)を講師にお招きし、下記のテーマでお話しいただきました。


テーマ  : 「一つだけではない、さまざまな日本語」

日 時  : 2008年3月30日(土)  14:00~17:00

参加者  : 台湾の日本語教育関係者・大学院生46名


 3時間の講義を前半と後半に分け、前半は「一つだけではない、さまざまな日本語」、後半は「海を渡った日本語」と題して講義が行われました。

 前半では、ある同系統の複数言語を別の言語と捉えるか、または、同一言語の中の「方言」と見るか、さまざまな事例を元に話を進められました。一例を挙げると、現在のヨーロッパで使用されている言語の中には、同系統の言語が多く存在し、フランスとイタリアの境界辺りでは、国家が違うにも関わらず、生活語においてはお互い通じ合うこともあるそうです。しかし国家という概念から考えると、その「生活語」はお互いの国の言語に属する「方言」ということになり、言語的には通じるにも関わらず、国家の概念からは「別言語」になるということです。このような話題から、日本という国家における方言の位置づけや言語としての「日本手話」に話が及びました。さらに、それぞれの国家が定めた「公用語」の普及に伴い、特定の地域で使用されている少数言語が、世界的規模で次第に衰退している現状について触れられました。しかし一方で、方言復興の気運が世界各地で高まっていることについて、同様の現象が日本でも起きていることを事例と共に紹介されました。そして、日本を含めたこのような世界的規模で高まっている機運は、今日のグローバル化による民族国家の弱化に対する反発ではなく、グローバル社会である現代において、その社会で求められるものこそが、特定のアイデンティティや言語・文化の特異性なのではないか、との見解を述べられました。

 後半の講義では、戦前・戦中に日本語を習得し、その言語能力を現在も維持しているミクロネシア、台湾、コリア、サハリン、中国東北部に生活する人々の日本語について、調査実施時に収集された談話データを元に話されました。そして、当該地域の人々が現在も日本語の能力を維持している要因として、「日本語習得開始年齢」「当時における地域に居住する日本語母語話者との日常的な接触」「日本語による学校教育」「日本語能力の社会的要求」によるものであることが明らかになったと述べられました。また、台湾やミクロネシアなどでは、母語を異にする人々の共通言語として、なおも一部で日 本語が使用されていることや、現地語に組み込まれている日本語もあることを実際の音声データを交えながら解説してくださいました。

 ご自身の研究を元に、豊富な具体例を交えた講義に対し、参加者からは興味が尽きることがない内容であったとの声が多く聞かれました。



講師の真田信治先生