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2007年度日本語教育冬期研修会「日本語教育における文法の役割を見直す」 (1月26日~30日)

更新日時

2008年 2月 29日作成

コンテンツ

今回の研修会では、大阪府立大学の野田尚史先生を講師にお招きし、「日本語教育における文法の役割を見直す」というテーマでお話しいただきました。



日時    : 〈台北会場〉2008 年1月26日(土) 10:00~17:00

        〈台中会場〉2008 年1月28日(月) 10:00~17:00

        〈高雄会場〉2008 年1月30日(水) 10:00~17:00



参加者  : 台湾の日本語教育関係者 (台北)46名 (台中)37名  (高雄)36名

配布資料: 「事前課題(ワークショップ:日本語教育における文法の役割を見直す)」(PDFファイル)

               「日本語教育における文法の役割を見直す」(PDFファイル)

関連資料: 野田尚史(編)『コミュニケーションのための日本語教育文法』くろしお出版,2005.

        野田尚史「日本語教育と文法」,多和田眞一郎(編)『講座・日本語教育学

               第6巻 言語の体系と構造』スリーエーネットワーク,2006.

               野田尚史ほか『日本語学習者の文法習得』,大修館書店,2001.



  今回は各所1日開催となったこともあり、研修を効率的に進め、有意義なものとするために5つの事前課題が用意され、課題1~4については事前に考えてくること、課題5では教材案の事前提出が求められました。そして、研修当日は、午前の講義1と2で各課題を検討する際の視点や留意点などが提示され、午後のワークショップ1では課題1~4、ワークショップ2では課題5について、それぞれグループに分かれて検討を加え、発表するという形で進められました。


  まず午前の講義1では、「実際に使われる自然な日本語か?」を中心テーマとして、「『文の構造』を教えようとして,不自然な日本語になっていないか?」、「無理に『文型』として教えようとして,不自然な日本語にな っていないか?」、「『文型』として取り上げにくい自然な日本語を切り捨てていないか?」、「『聞く』『話す』『読む』『書く』それぞれの日本語の違いを考えているか?」という4つの観点から、既成教材中に見られる例などについて、その適否が参加者に問いかけられ、文法の教育がコミュニケーションのための自然な日本語の教育を阻害している面があり、広く使われている最近の教科書にもその問題が含まれていることが指摘されました。


  講義2では、「実際に出会いそうな自然な状況設定か?」を中心テーマとして、「現実に出会いそうな状況設定になっているか?」、「非母語話者が日本語を使わなければならない状況設定になっているか?」、「『聞く』『話す』『読む』『書く』それぞれの必要性の違いを考えているか?」、「実際に使えるストラテジーを教えているか?」という4つの観点から、これまでの教材中によく見られる練習問題の状況設定などの適否が参加者に問いかけられ、文法の教育にとらわれるあまり、不自然な状況設定を生み出す場合があることが 指摘されました。


  講義内容を受け、午後のワークショップ1では課題1~4(命令形の練習、受身文の会話、写真の説明の聴解問題、話し合い のための課題)について、各課題が複数のグループによって検討され、その結果が発表されました。


  続くワークショップ2では、事前に課題5として提出された教材案について、講義やワークショップ1で取り上げられた視点からグループごとに分析、検討が加えられ、その結果が発表されました。


  1日の研修を通して、既存の教科書や教え方の問題点の把握にとどまらず、ワークショップで参加者全員が話し合い考えたことで、それまでの学習・教育経験から自身にも刷り込まれてしまっている文法教育の扱い方の問題に改めて気付かされる研修会となりました。参加者からも、「今までのやり方を振り返り、反省すべき点にも多く気付いた」、「コミュニケーションを重視した日本語教育の本質を知ることができた気がする」などの声とともに、「勉強になった」、「参考になった」という声が多数聞かれました。



(野田尚史先生)