◆日 時: 2009年4月5日(日) 午前9時30分~午後12時30分
◆会 場: 麗景酒店・2階会議室
◆主 催: 交流協会高雄事務所主催
◆指 導: 教育部
◆テーマ:「相手を受け止めるトレーニング-積極的傾聴と描画法による」
◆講 師: 吉村順子氏(鶴見大学文学部教授・臨床心理士)
◆参加者: 日本語教育関係者 29名
*「日本語教育研修会」は昨年度までの「日本語教育実践講座」の名称が変更したものです。
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2009年度・第1回日本語教育研修会-吉村順子先生による講義とワークショップ-が実施されました。
講義では、聞くことは実は積極的な行為であると説明されました。よい聞き手となるためには、相手との息が合うことが重要であり、そのためには聞き手がリラックスした状態を自ら作ることが大切であるとして、呼吸法によるリラクセーションの方法をみなで体験ました。そして、話し手と聞き手とそれを見る人の3人のユニットを作り、職場の人間関係について、二つの設定でロールプレイを体験ました。ロールプレイでは、相手の立場を演じることで、他者の気持ちがよく理解できると述べる参加者がいました。
後半は、二人が組みになり、なぐり描きを使った絵画によるコミュニケーションの実習が行われました。画用紙に5つのコマを描き、最初のコマに一人が意味のないぐるぐる描きをして、もう一人がそれに絵を見出し、色をつけることによって完成させる。そのやりとりを、役割を交換して4セッション行ったのち、4つの絵を用いて、二人で短いストーリーを完成させるという課題でした。会場は熱心で愉快な空気になっていき、あちこちで笑顔がこぼれました。心理療法で用いる課題をコミュニケーションの道具としても使えるという説明がなされました。初めての体験にもかかわらず、二人で完成させたストーリーは、ミニ絵本と呼んでもおかしくないくらいの出来上がりであり、意味のないぐるぐる描きから、絵という意味づけ、さらに二人でストーリーまで完成させる課題が、日本語習得途上の生徒にとっても参加しやすいのではないか、という説明がされました。
<講師コメント>
4月5日の研修では、参加者の方が大変熱心に取り組んでくださり、講師としてもリラックスして話すことができました。「さすが、言語というコミュニケーションの道具を教授する方たち」と内心、舌を巻きました。傾聴訓練では、台湾ではむしろ、熱心に相手の立場で自分の意見を言うほうが親切だと思われる、という意見も出ましたが、悩む人にとっては、一般的に想定できる解決策では自分の問題は解決しないと思い込んでいることも多いのではないでしょうか。ゆっくり相手の気持ちに共感しながら、落ち着いてそこに一緒にいるということは、大切な対人関係のあり方だと思います。