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2009年度日本語教育夏期研修会「自分らしい表現を創る作文指導法 -身体知を言葉に開く」

更新日時

2009年 11月 2日作成
2009年 11月 4日更新

コンテンツ

タイトル:自分らしい表現を創る作文指導法-身体知を言葉に開く
講師:得丸智子氏(日本女子体育大学教授)・陳淑娟氏(東呉大学教授)

日時:
【台北】9/5(土)10:00~17:00、9/6(日)10:00~15:00
【台中】9/7(月)10:00~17:00、9/8(火) 10:00~15:00
【高雄】9/10(木)10:00~17:00、9/11(金) 10:00~15:00

場所:
【台北】台北事務所日本語センター(台北市慶城街28号)
【台中】東海大学(台中市台中港路三段181号)
【高雄】文藻外語学院(高雄市民族一路900号)

参加者:
【台北】1日目61名/2日目38名
【台中】1日目32名/2日目19名
【高雄】1日目37名/2日目23名

 今回の研修会は、米国のユージン・ジェンドリン氏が開発した理論構築法であるTAE(Thinking At the Edge)を応用した作文教育の方法について、理論の説明や具体的な実践方法をワークショップ形式で行いました。

 TAEは「からだの感じ」=「フェルトセンス」を使います。「フェルトセンス」とは、身体の内側で動いている漠然とした「からだの感じ」を指します。研修会ではまず、この「フェルトセンス」の説明に始まり、参加者自らが自身の「フェルトセンス」を掴み、それを実際に言葉にしていく手順や方法を実際の活動を通じて紹介していきました。

 普段意識していない「フェルトセンス」を言葉にしていくためには段階を踏んで理解することが必要であるため、1日目は参加者自身の「フェルトセンス」を掴むという活動から始め、次に「オノマトペ」さらに「センテンス」と、徐々に文に展開していくという流れで進めていきました。また、一つの活動が終わると、その内容を振り返るための時間を設け、参加者の理解を促すような配慮も見られました。

 「センテンス」を作る作業を行ったあとは、そこから「詩」へ、さらに「エッセイ」へと発展させる実践例の報告があり、実際に学生が作成したエッセイが披露されているウェブサイト「さくぶん.org」の紹介もありました。その後、TAE理論を用いた「会話教育への応用」を具体的な実践例を交えながら紹介され、作文教育だけではなく、その他にも応用ができる汎用性の高い方法であることを説明しました。

 2日目は「パターン」について紹介しました。「パターン」とは「多くの実例の中に繰り返し表れる可能性があるものであり、多くの状況に適用できるもの」です。この「パターン」は一般的なものであり、かつ繰り返し表れるものなので、元々関連のない別々の物事を関係づけることができます。よって、「パターン」を使うと一貫性のある文章が書ける、ということを参加者実際に行った活動と関連づけながら説明しました。さらにそこから発展し、「交差」という概念を紹介しました。「交差」とは「ある実例が示唆することが、別の実例にもあるとすること」です。あることから抽出された「パターン」は実は別の実例にも適用できるというものです。この「交差」を行うと、文章がより立体的に表せます。研修では、実際の授業でこの「交差」を用いた学生の自己PR文の実例とその授業の実践方法を紹介しました。

 作文の技術的な指導法ではなく、「からだの感じ」を言葉にし、それを文章に展開する方法を学んだ今回の研修会でしたが、「技術を教える方に重きを置きがちだったが、『考え方を教える』というのは新しい発見だった。」「 『フェルトセンス』という新しい考えに触れることができ、今後の授業にぜひ生かしたいと思った。」「言葉と心の繋がりを考えさせられた。」「作文が書けない本当の理由が分かった。学生にとってだけでなく、自分自身にも役立ったと思う。」など、終了後には好意的な意見が数多く寄せられました。