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2009年度日本語教育冬期研修会「発音のなめらかさを高めるシャドーイング」

更新日時

2010年 2月 13日作成
2010年 2月 14日更新

コンテンツ

タイトル:発音のなめらかさを高めるシャドーイング

講師:戸田貴子氏(早稲田大学大学院日本語教育研究科教授)

日時:
【高雄】平成22年2月8 日(月)10:00~17:00
【台中】平成22年2月10日(水)10:00~17:00
【台北】平成22年2月11日(木)10:00~17:00

場所:
【高雄】文藻外語学院(高雄市民族一路900号)
【台中】中山医学大学(台中市大慶街二段100号)
【台北】台北事務所日本語センター(台北市慶城街28号)

参加者:
【高雄】50名
【台中】49名
【台北】64名

 今回は、言語運用能力を高める学習方法として注目されている「シャドーイング」について研修会を行いました。「シャドーイング」は特に発音の学習に効果的だと言われていますが、その理論や学習方法については、それほど知られているという訳ではないようです。そこで、本研修会ではまず「シャドーイング」とは何か、という基本的な説明に始まり、その効果や種類、練習方法について紹介しました。

・プロソディーシャドーイング→音声的側面に焦点を当てて、韻律特徴を中心に練習する方法。
・コンテンツシャドーイング→意味理解を伴った方法。
・サイレントシャドーイング→声を出さずに、頭の中だけで繰り返す方法。
・マンブリング→小さな声でつぶやく方法。

 「プロソディーシャドーイング」は発音練習に適しており、「コンテンツシャドーイング」は内容にも焦点を当てているため、聴解練習にも取り入れられる方法です。また、大きな声を出せない状況などで行う場合、頭の中で繰り返す「サイレントシャドーイング」という方法や「マンブリング」と呼ばれる小さな声でぶつぶつとつぶやく方法もあります。紹介した方法はスピーチが聞こえてきたとほぼ同時に、口頭で再生するものですが、慣れるまでは、文法や意味を完全に理解してから行うのではなく、聞き取れたところだけ取り敢えず発音してみるという柔軟な姿勢が練習のポイントになると説明しました。次第に慣れてきたら、完全に文が再生できるかどうかを確認するため、一文が終わったらポーズを入れる「リプロダクション」という方法や、一つの文で区切るのではなく、文章をまとまりで捉え、一度に記憶できるくらいの長さやまとまりでポーズを入れて練習する「リテンション」という方法に応用できることにも言及しました。

 これらシャドーイングの練習方法は、大人になってから日本語学習を開始したにも関わらず、ネイティブレベルの習得を達成した複数の学習成功者=「発音の達人」が実践していた学習方法の中で、特に出現頻度が高いものであったということです。そこで、研究成果をもとに作成されたシャドーイング練習用教材を使用して、実際にシャドーイング練習を行いました。また、中国語母語話者のための日本語発音指導にも触れ、こちらも同様に発音練習を行いました。

 「シャドーイングを自分の授業に活用したい」という意見や教師自らも「自分の外国語学習にシャドーイングを使ってみたい」といった意見が複数聞かれ、言語学習におけるシャドーイングの効果を実感した研修会となりました。