11月16日(土)、高雄市内において「令和6年度外務大臣表彰」授賞式が執り行われ、潮音寺管理委員会及びバシー海峡戦没者慰霊祭実行委員会の2団体に対し表彰状が授与されました。外務大臣表彰は、我が国との友好関係増進のため長年にわたり取り組まれた個人・団体に対し、その貢献を外務大臣より表彰するものです。
表彰式は、温かく和やかな雰囲気の下、執り行われました。
【潮音寺管理委員会】
戦時中のバシー海峡で12日間漂流の末、奇跡的な生還を遂げた故・中嶋秀次氏による私財と日本各地からの浄財により、バシー海峡戦没者慰霊施設である潮音寺が1981年建立。潮音寺管理委員会は、潮音寺にて戦没者を慰霊するとともに、日本等から訪れたご遺族から託された物品や遺品などを管理・展示し、バシー海峡における惨劇を後世に伝えている。戦後70周年となる2015年にはバシー海峡戦没者慰霊祭実行委員会と共に慰霊祭を開催。以後毎年慰霊祭を続け、慰霊活動を通じた更なる日台友好に取り組んでいる。
【バシー海峡戦没者慰霊祭実行委員会】
戦後70周年となる2015年に台湾在住日本人を中心とした有志により設立。10万人とも20万人とも言われているバシー海峡戦没者の慰霊活動を継続的に実施している。本年11月で10回目となる慰霊祭には、毎年多くの台湾在住日本人、台湾側協力者のほか、日本からご遺族も参列している。日本と台湾双方の人々に対して、バシー海峡における第二次世界大戦時の惨事を忘れることがないよう継続的な活動を行うと共に、慰霊活動を通じた更なる日台友好に取り組んでいる。
受賞をお祝い申し上げるとともに、益々のご発展を祈念いたします。
奥所長の挨拶全文は以下の通りです。
本日、潮音寺管理委員会とバシー海峡戦没者慰霊祭実行委員会の2団体に対し、外務大臣表彰の表彰状伝達式を執り行うことができますことを、たいへん喜ばしく思います。
外務大臣表彰は、多くの方々が国際関係の様々な分野で活躍され、日本と海外との友好親善関係の増進に多大な貢献をされている中で、特に顕著な功績のあった方々に対し、その功績を称えるとともに、その活動に対する一層の理解と支持を国民各層にお願いすることを目的とした顕彰制度です。このような表彰を、日本と台湾の相互理解の促進に長年ご尽力されてこられた、本日お集まりの2つの団体に対して行うことができることを、心から光栄に思います。
鐘佐栄女史を委員長とする「潮音寺管理委員会」は、撃沈された玉津丸から奇跡的な生還を遂げた故・中嶋秀次氏の遺志を引き継ぎ、同氏が私財と浄財により建立した潮音寺を管理し、戦没者を慰霊するとともに、バシー海峡における惨劇を後世に伝えておられます。潮音寺の建物は常に潮を含んだ風にさらされ、秋冬は強烈な落山風に容赦なく吹き付けられて傷むのが早く、その管理にはたいへん苦心しておられると伺っています。同委員会、とりわけ鐘委員長は、そのようなご苦労を乗り越えながら、慰霊活動を通じた更なる日台友好に取り組んでおられ、その日台友好を思うお気持ちには本当に頭が下がります。
また、渡邊崇之様を実行委員長とする「バシー海峡戦没者慰霊祭実行委員会」は、戦後70周年の2015年に台湾在住日本人を中心とした有志によって設立された団体であり、有志のみなさんによる運営は決して平坦なものではない中で、毎年バシー海峡戦没者の慰霊活動を継続して行い、明日の慰霊祭で10回目を迎えられました。毎年多くの台湾在住日本人、台湾側で協力してくださっている方々のほか、日本からご遺族も参列しておられ、この委員会の慰霊活動が日台双方からいかに強く求められているものであるかがよくわかります。わたくしも昨年、初めてこの慰霊祭に参列し、渡邊実行委員長とともに潮音寺、猫鼻頭の海岸、そして鵝鑾鼻を訪れ、同実行委員会の慰霊活動に実際に加わり、日本から来られたご遺族、ご子孫の方々のお話を直接伺うなどし、わたくしとしても、こうして日本と台湾双方の人々に対して、「銘心鏤骨」の言葉を胸に、バシー海峡における第二次世界大戦時の惨事を忘れることがないよう継続して活動を行っておられる同委員会に対して何かしてやれることはないかと考えてまいりました。外務大臣表彰は、わたくしどもができるほんのささやかなことではありますが、こうして本日、その表彰状を渡邊実行委員長にお渡しできることを、わたくし個人としてもとてもうれしく感じております。
本日は、当協会台北事務所の片山代表もこの伝達式に同席しております。伝達式のあと、これまたささやかではありますが、祝賀の宴席を用意しておりますので、わたくしどもにいろいろなお話をお聞かせいただきながら、関係者の方々の親睦を深め、そして明日の慰霊祭に臨むことができればと思います。ありがとうございました。