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日台関係

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新着情報(日台関係)

2023年04月26日

活動報告(写真)日台関係台北

賴明珠氏に旭日双光章を伝達

 4月26日、当所泉裕泰代表は、令和4年秋の外国人叙勲で旭日双光章を受章された賴明珠氏に対し、勲記及び勲章の伝達を行いました。これは、頼氏の台湾における日本文化の紹介及び相互理解の促進に寄与された多大なる御功績を称えるものです。
 当所の泉裕泰代表の挨拶は以下のとおりです。

【泉裕泰代表の祝辞】
 賴明珠先生、御臨席の皆様、

 この度、天皇陛下から賴明珠先生に対して、旭日双光章を賜りました。心よりお祝い申し上げます。これは、賴先生の台湾における日本文化の紹介及び相互理解の促進への寄与に対する、多大なる御功績を称え、授与されたものです。

 賴先生は、千葉大学に留学された後、台湾の広告会社で働いていた際、村上春樹作品に出会い、その魅力にいち早く気づき、1985年、3つの短編をはじめて翻訳し、台湾の雑誌で発表されました。これは、台湾のみならず、世界的に見てもはじめて村上作品の翻訳が海外で紹介された例に当たります。

 翌年の1986年、先生は村上作品の翻訳に専念するため勤めていた広告会社を退職して、長編小説の翻訳を開始し、その後長年に亘って精力的に台湾に村上作品を紹介し続けました。賴先生が翻訳された作品は50作品以上、台湾での売上部数は百万冊を超え、台湾では若者を中心とした村上春樹ブームが巻き起こり社会現象となりました。

 賴先生の翻訳は、「まるで村上春樹が中国語で書いているよう」との声が上がる名文です。村上作品のもつユニークな文体をできるだけ活かすため、語順、語感、単語にも常に細やかな注意を払って訳出しました。そのおかげで読者は、日本語の原文が持つ奥深い魅力を中国語でも味わうことができました。先生の翻訳版は、同じ繁体字圏の香港をはじめ、中国、シンガポール、マレーシア等の国・地域においても広く読まれています。賴先生は、中華圏における村上作品の紹介、ひいては日本文学の普及に大きく貢献されました。

 賴先生が翻訳された村上作品のジャンルは、小説から随筆、紀行文・ノンフィクション、文化人との対談など多岐に亘り、その台湾における影響は、文学、アート、音楽、映画、学術面に至るまで幅広い分野に及びます。これは、日本への関心喚起、対日理解といった側面で良好な日台関係を支える基礎となっており、先生の多大なる功績によるものです。
       
 村上春樹は、著書『風の歌を聴け』繁体字版の冒頭、台湾の読者に寄せた文章の中で「私の作品の読者は年を取らないようだ」と述べていますが、賴先生がこれまで手がけた村上作品は、今も台湾の多くの若い読者たちをも魅了し台湾社会に影響を与え続けています。

 今回のご受章は、賴先生が、長年にわたって情熱と好奇心と誠意をもって翻訳の仕事に邁進されたことと、ご家族の皆様並びに関係者の皆様の日々の支えと励ましがあってこそ実現したものと存じます。本日御臨席の皆様とともに、賴先生のご受章をお祝いできることを嬉しく思います。

 最後に、賴先生及び御臨席の皆様方の益々の御健勝と御多幸、また、日台関係の益々の発展を祈念して、私からのお祝いの言葉といたします。本日は、誠におめでとうございます。