中央銀行は10月25日、最新のマネーサプライを発表した。これによると、9月のM1Bの対前年比伸び率(期中平均ベース)は+2.76%、M2の対前年比伸び率(期中平均ベース)は+5.98%と通貨レンジ(6.5%)内に低下した。これは、主に外資純流出の増加、銀行貸出及び投資の減少によるものである。1月~9月のM1B及びM2の対前年比伸び率はそれぞれ+2.71%、+6.53%となった。M1BがM2を下回るデッドクロスが持続し、株式市場の資金動向に不利な状況を反映した。
9月の外資による株売越し額が1,659.6億台湾元となり、個人投資家の投資マインドに間接的に影響を与えたことから、個人投資家の資金動向を表す9月の証券振替決済預金残高は前月比955億台湾元減少の3兆2,483億台湾元と3兆台湾元台を維持したものの、2ヶ月の減少額は2,039億台湾元に上った。これについて、中央銀行の担当官は、「足元の株式市場の投資状況は比較的慎重。AIブームの影響により株式市場の変動が大きかったが、域内の資金は依然として潤沢である」と述べた。
9月の外資及び個人投資家による株式投資比率について、個人投資家による株式投資比率は8月の57.8%から57.7%に、外資の株式投資比率は32.5%から31.5%に低下し、内資の投資比率は9.7%から10.7%に増加した。
9月の外国人による台湾元建て預金残高は前月比328億台湾元減の1,855億台湾元に減少し、2020年7月以降の最低となった。中央銀行の担当官は、「9月の外資による市中及び店頭市場の売越し額はいずれも拡大した。金融監督管理委員会の統計によると、9月の元本純流出額が32.75億米ドルとなり、加えて現金配当及び投資利益とも海外送金が増えたことから、外国人による台湾元建て預金残高の減少幅が拡大した」と述べた。また、「9月の外貨預金残高が8.79兆台湾元に減少し、前年同月比+4.86%と2021年9月以降最小の増加幅となったことは、主に足元の輸出不振を反映しており、例え9月がプラスであっても外貨純収支は8月より若干の減少となった。さらに、業者売上の減少、台湾元レートの切り下げ、個人及び企業による米ドルから台湾元への両替、社会保険退職基金、信託基金、生保業などの海外債券及び証券投資規模の増加などが年増率の低下をもたらした」と説明した。
(注)
*M1A:通貨発行額。企業・個人(非営利団体含む)の当座預金および流動性預金残高の総額。
*M1B:M1aに個人の非定期性積立預金残高を加えたもの。
*M2:M1Bに企業・個人の定期性預金残高、外貨預金、外国人による台湾元建て預金残高などを加えたもの。
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