今回の研修会では、人間環境大学の文野峯子先生と国立国語研究所の金田智子先生のお二人の講師をお招きし、授業分析をテーマに、講義とワークショップを行いました。
日時 :〈台北会場〉2006 年7月16日(日)9:00~16:30
7月17日(月)9:00~15:45
〈台中会場〉2006 年7月19日(火)9:00~16:30
7月20日(水)9:00~15:45
〈高雄会場〉2006 年7月 22日(土) 9:00~16:30
7月 23日(日) 9:00~15:45
参加者 :台湾の日本語教育関係者(台北)28名(台中)23名 (高雄)18名
配布資料:「自分の授業を見直しませんか」(PDFファイル) (PDFファイルはAcrobat Readerが必要です)
ポスター発表成果: 台北会場 ・ 台中会場 (PDFファイル)
まず、一日目、講義に入る前に、日本語の授業のビデオを見て、普段、私達がどのような視点や観点で授業を観察しているかを内省し、その観点が評価的か中立的なのかという議論から始まりました。その後、授業を客観的に観察・分析する方法として「FOCUS」という分析ツールが紹介されました。そして、客観的に分析することで、授業の良し悪しを判断するのではなく、教師それぞれが持つ個人的なくせやパターン、問題点を把握して、どうすれば授業に変化を持たせることができるのか、その方法を導き出すのが「FOCUS」の利点であることを強調しました。グループワークでは、5つのカテゴリーに分類された「FOCUS」を使って、文字化された授業を実際にコーディング(記号化)しながら、授業の実態を観察しました。5つのカテゴリーには、Source/Target(発信源と受け手)、Move Type(コミュニケーションの目的)、Medium(手段)、Use(手段がどう使われるか)、Content(内容)があり、カテゴリーごとにポイントが細分化されています。
また、午後には日本の中学校の英語教育の授業を観察・分析し、午前中に観察した日本語の授業と比較して、5つのカテゴリー別にどのような違いが発見できるかを話し合いました。そして、二日目は、講師による模擬授業を見て、授業の文字化とコーディングをグループで行い、一日目に観察した授業との違いや、講師が従来の授業のパターンをどのように崩そうとしていたのかを分析しました。さらに、午後は、普段の授業パターンに変化(ゆさぶり)が起こる授業案をグループで考え、ポスター発表をしました。新たなツールを使って分析することに対して最初は戸惑っていた方もいましたが、研修が進むにつれ、授業の観察結果をどのように変化に結びつけていくか、グループでアイディアを出し合うなど、研修会の終わりには、分析方法(FOCUS)や授業観察に関して深く議
論が行なわれてい ました。「FOCUS」のコーディングは正解が一つだけではない場合も多いのですが、一人の教師の中で一貫性を持って分析をすることの大切さを先生方は繰り返され、分析方法についてのディスカッションにも熱が入り、先生方と有意義な意見交換ができた研修会となりました。