中央銀行は6月24日、最新のマネーサプライを発表した。それによると、5 月のM1aの対前年比伸び率(期中平均ベース)は+8.93%となった。M1bの対前年比伸び率(期中平均ベース)は+6.30%と2ヶ月連続の上昇から横ばいとなった。M2の対前年比伸び率(期中平均ベース)は+4.14%と7ヶ月連続の下降となった。
中央銀行の官員は、「5月のM2の対前年比伸び率が下降した原因は主に、外貨預金の減少、外資が流出に転じたためである。また、5月のM1b及びM2の額がそれぞれ15.47兆元、40.5兆元と4月を上回ったことは、市場の資金が依然として潤沢であることを示している。世界の経済成長が強くなく、特にイギリスが国民投票でEU離脱を選択した変数により、引き続き資金の潤沢環境を維持するだろう」と指摘した。
5月の超過準備純額が368億元となったことについて、中央銀行の官員は、「今年に入り、超過準備の平均水準は相対的に高まり、金融市場の資金が潤沢であることを反映している。世界主要国が普遍的に金融緩和策を実施しており、台湾は小型な経済開放国であり、その足跡に従わなければならない」と指摘した。
株式市場の資金動向とみなされるM1bの対前年比伸び率は昨年1月から下降し、M2の伸び率を下回るデッドクロスとなっていたが、昨年の9月からゴールデンクロスの状態に逆転し、すでに9ヶ月続いている。両者の差は更に2.16ポイントまで拡大し、株式市場の活況にプラスとなる。
中央銀行の統計によると、5月末の外国人による台湾元建て預金残高は1,693億元で、3ヶ月連続の減少から横ばいとなり、2004年1月以来(12年ぶり)の最低となった。これについて中央銀行の官員は、「これは主に、米利上げの議題が提起され、外資の流出額は29.09億米ドルとなったほか、個人投資家を代表する証券振替決済預金残高が前月比237元減少の1兆4,037億元となったことによるものである。また、5月末の外貨預金残高は前月比1,209億元減少の4兆8,383億元となった。これは主に台湾元レートの切り下げ、企業の資金調達が米ドルにシフトしたことによるものである。また、米国連邦準備制度理事会(Fed)が6月に利上げを行わず、イギリスのEU離脱国民投票が意外にも通過し、今後金融市場の変動を観察する必要があるが、米ドル相場の強みに伴い外資が台湾から撤退する可能性は排除されず、株式市場及び台湾元レートに不利となる見込み」との見方を示した。
(註)
*M1a:通貨発行額。企業・個人(非営利団体含む)の小切手預金および非定期性預金残高の総額。
*M1b:M1aに個人の非定期性積立預金残高を加えたもの。
*M2:M1bに企業・個人の定期性預金残高、外貨預金、外国人による台湾元建て預金残高などを加えたもの。
金融動向表[PDFファイル] [55KB]