今回は、金田一秀穂氏(杏林大学外国語学部教授)を講師にお招きし、「日本語の使い方」をテーマに講演会を行いました。
日時:2007年6月3日(日)13:30~15:30
参加者:台湾の日本語教育関係者・日本語学習者 104名
まず、参加者から事前に寄せられていた若者ことばに関する質問に答える形で講演は始まりました。「全然いい」という言い方は正しいのか正しくのないのかという問題では、明治時代から使われていた例をあげ、ことばの変遷とことばの正しさとは何かについて述べられました。そして、現在、様々な若者ことばが社会で問題視されていることに触れ、その現象が詳しく説明されました。若者ことばは「仲間ことば」であり、仲間以外の者へは排他的な要素を含むものであること、しかし、最近では相手や場によって使い分けるべきものを使い分けていないことが問題の根本になっていることがわかりました。また、正しい日本語というものは存在しないという講師の考えを裏付けるべく、ことばの「ゆれ」に関する様々な事例が紹介されました。さらに、ことばというのは、自分を表現し、相手を理解するための手段であり、人と人が結びつくための「交話」であることが強調されました。しかし、正しい日本語がないといっても、日本語教育の現場においては、外国語として日本語を学ぶ学習者には「規範」を教え、学習者がその規範において間違いをしないような教育が必要だとまとめられました。参加者からの質問も尽きることがなく、現在の日本語のあり方について考えさせられる反響の高い講演会でした。
(講師の金田一秀穂先生)
