今回は、邱英英先生
(國立華僑實驗高級中學日文科専任教師
)、宋書瑀先生
(稻江高級護理家事職業學校應用外語科主任
)、緒方智幸先生
(東海大學文學院日本語文學系専任講師
)を講師にお招きし、「高校における日本語教育の現状と課題
」をテーマに研修会を行いました。
日時:2009年6月27日(土) 9:00~15:00
参 加 者:台湾の中等教育機関日本語教育関係者 20名
まず初めに、邱英英先生のほうから、第2外国語の選択科目として日本語が教えられている、ご所属の國立華僑實驗高級中學応用外語科日本語組の、学生数、教師数、カリキュラム、使用教材、進度・到達度、学生側の問題点、教師側の問題点等についての現状報告と共に、日本文化情報不足、教材・教授法情報不足、学生のやる気不足等の課題に加え、日本語の専任教師ポストのある高校が非常に少なく兼任教師ばかりであることや、選択科目であるが故に授業数が一定しないことによる仕事の不安定さの解消が最大の課題であるとのご指摘がありました。
次に、宋書瑀先生から、まず高級職業學校全体における日本語教育の現状についてご説明があり、続いて、日本語専攻課程必修科目と第2外国語選択科目の2つの形式で日本語が教えられている、ご所属の稻江高級護理家事職業學校における日本語教育の現状についてご報告いただくと共に、様々な学内イベントや日本の提携校との国際交流活動等についてもご紹介いただきました。そして、課題として、学生間の能力差や、教える内容が多すぎて進度が追いつかないこと、実習機会の少なさ、大学入試への対応、教師の文化教授能力の問 題等々が挙げられました。
後半は、ご参加の先生方の所属校の現状と課題等について順にお話しいただき、活発な意見交換が行われました。主なものを列挙すると、以下のようになります。
①高校で何をどこまで教えたらいいのか
②五十音をいつ、どうやって教えるか
③高校で教える日本文化の現状と課題(アニメ、歌、ドラマ、歌舞伎、茶道、着物、踊り、
マナー、料理、年中行事、音楽等)
④高校で教える日本文学
⑤高校生向けの日本語勉強法(パソコン入力法、メール、インターネット翻訳、辞書の引き方等)
⑥インターネットで学
ぶ日本語
⑦高校と大学との連携
・日本語学習者と大学のカリキュラムの現状
・大学は高校生の日本語に何を期待しているのか
・職業高校で2級までとった学生に対し、大学側に受け皿はあるのか
・入学試験に日本語を入れることの是非
以上のうち、特に⑦に関する意見が多く出され、①とも関連して活発に話し合われました。
今回は、当初の予定時間を大幅に超過する結果となってしまいましたが、「以前より収穫が多く、確かに沢山の内容の討論ができた」、「長時間の研修だったが、興味深いお話を聞く事ができ、大変ためになった」など、反響の高い研修会となりました。
邱英英先生

宋書瑀先生

緒方智幸先生

研修会の様子
