高雄市政府文化局と当所共催の国際交流基金海外巡回展「焼締―土の変容」の開幕式を、8月2日(土)、高雄市文化中心至真堂1館で開催しました。ご来場いただいた貴賓をはじめ、多くの方々が熱心に鑑賞し、台湾ではめったに展示されない日本の貴重な芸術「焼締」の魅力を深く理解いただけました。
開幕式では、当所奥正史所長の挨拶では、「焼締」は、縄文、弥生から古墳時代を経て平安時代にかけて、朝鮮半島からの影響を受けながら、土器、土師器、須恵器と長い時間をかけて日本人が作り続けてきた素焼きの焼き物から発展したものであり、その肌合いや色合いは日本人にとって最も親近感のあるプリミティブな陶器であると言えると紹介し、また、日本では全国各地でその土地独特の焼き物が生産されていますが、特に「焼締」は、「日本六古窯」と呼ばれる瀬戸、常滑、越前、信楽、丹波、備前や、有田、萩、伊賀、益子などが有名で、今回の展覧会を通じて、台湾のみなさんが日本の焼き物の歴史や文化、作品に関心を深め、「焼締」の窯がある場所へと足を運んでいただき、日本と台湾との間で伝統工芸の交流が盛んになることを大いに期待すると述べました。
高雄市政府文化局簡嘉論副局長は挨拶の中で、茶器をはじめとする陶磁器は日常生活で広く使われており、台湾では今、新世代の陶芸家がこれらの生活用品も制作していることを紹介し、そして、誰もが日々の生活に美意識を取り入れ、お気に入りの茶碗やカップで食事やコーヒー、お茶を楽しみ、楽しく使ってほしいと願い、「焼締」展がそうした啓発、教育を与えることを期待すると述べました。
その後、当所青木裕美主任が茶道を実演し、茶道とは、日本の伝統文化のひとつで、お茶を点ててふるまうことを通して心をととのえる作法や精神を大切にする芸道で、単にお茶を飲むだけではなく、礼儀やおもてなしの心、そして自然との調和が重んじられていると説明しました。ご来賓の皆さまは抹茶の甘い風味を堪能しつつ、茶器そのものの美しさにも関心を寄せていました。
会場では、金重陶陽、山本陶秀、藤原啓、藤原雄、伊勢﨑淳、三代山田常山、五代伊藤赤水の7名人間国宝の作品も含まれ、備前焼、信楽焼、常滑焼等の作品計78点が展示されています。会期は8月17日(日)までです。ぜひこの機会に「焼締」文化の世界を体感してみてください。
「焼締―土の変容」展 (入場無料)
展示期間|2025.08.02(土)-2025.08.17(日) ※月曜日は定休日
開館時間|火から木、日 10:30-17:30 金、土10:30-20:00
会場 |高雄市文化中心至真堂一館
主催 |日本台湾交流協会高雄事務所、高雄市政府文化局、国際交流基金