1.8月8日付自由時報に掲載された劉黎児女史の投稿記事は以下の重大な事実誤認を含んでおり、震災後の我が国の政策及び現状に関し、読者に誤解を与えるものであり、自由時報がこのような投稿を掲載したことは誠に遺憾である。
2.まず、劉女史は、「日本政府は、今年多くの予算を投じて、大勢の台湾、香港、中国の有名ブロガーを日本観光に招待し、富士山等各地の観光地や温泉の訪問、海鮮料理や日本料理、日本茶等の堪能を通じて、彼らが台湾に戻った後に日本の宣伝をしてもらおうとしているが、これはいわゆる形を変えた買収行為に等しいこと」としているが、ブロガーを含むSNS発信者を日本に招へいする事業の目的は、震災後の日本の復興の正しい現状や震災後も変わらぬ日本の魅力を,彼らに直接見聞してもらう機会を提供して知見を広めて貰うことにあり、かつ、SNSでの発信内容については、発信者の意思に委ねているので、本招へい事業を「形を変えた買収行為」と評されることは全く当たらない。なお、日本政府として招へいしたブロガーを含むSNS発信者が、静岡県に滞在した事実はなく、また、少なくとも劉女史の投稿時までに、静岡茶(日本茶)につきSNS発信した事実もない。
3.また、劉女史は多くの数字を引用して静岡産の緑茶の放射能汚染を指摘しているが、これらについても多くの事実誤認を含んでいる。
(1))まず、「今年、厚生労働省が公表した放射性セシウムの測定結果によると、静岡茶は今年4月に設定した食品中の放射線量の新基準値100Bq/Kgをやはり超えており、」との記述についてであるが、静岡県産の茶に関しては、2012年以降現在(8月15日現在)までに、厚生路炉労働省が公表した検査結果の中で、基準値(10Bq/Kg)(*)を超過したお茶はなく、最大でも3.2 Bq/Kgであり、すべて検出限界値未満となっている(別添1)。
(2)また、「当時日本で実施されていた緩くて殺人的な基準の500Bq/Kg」といった記述についてであるが、暫定規制値500 Bq/Kgに適合している食品は、健康への影響はないと一般的に評価されており(別添2)、諸外国や国際機関においても同等又はより緩い基準値が設定されている(別添3)ことからも事実誤認といえる。なお、より一層、食品の安全と安心を確保する観点から、我が国は、茶に対する500Bq/Kgという規制値をさらに厳格化し、本年4月からは10 Bq/Kg(*)を新基準値としている (別添4)。
(3)さらに、本件記事は、「100Bq/Kgを超える茶葉等は、今は日本人でさえ食べず、日本の国内市場では流通できないため、これらのセシウム茶等の放射能に汚染された食品を受入れる国に流れてしまう」として、国内における
基準値を超えた放射性物質が含まれる食品が国外に流出しているかのような言及を行っている。しかし、日本国内の食品の検査体制に関し、我が国は世界的に非常に厳しい基準を導入し、食品の安全確保に努めており、国内の基準をクリアした食品で、国内で安全とされた食品のみが海外にも輸出されている。基準値を超過した食品については出荷制限等の措置を講じており(別添5)、国内の流通とともに、海外にも輸出されることのないよう取り組んでいる。
*お茶は2012年4月1日より、荒茶・製茶(乾燥茶葉)から抽出した飲用の状態で放射性物質の検査を行い、基準値は飲用水と同様、10 Bq/Kgを適用。
(了)