中央銀行は1月25日、最新のマネーサプライを発表した。それによると、2015年12 月のM1aの対前年比伸び率(期中平均ベース)は+7.59%となった。M1bの対前年比伸び率は+6.37%とM2の対前年比伸び率(+5.68%)を上回り、ゴールデンクロスが4ヶ月続いた。2015年のM1b及びM2の対前年比伸び率はそれぞれ+6.10%、+6.34%と目標レンジ範囲内(2.5%~6.5%)に収まった。
中央銀行の官員は、「外資の流出、証券振替決済預金残高、定期預金、外貨預金とも減少したため、M1b 及びM2の対前年比伸び率は軒並み下降(M1b:+6.73%→+6.37%、M2:+6.39%→+5.68%)したが、M2の対前年比伸び率の下降幅がM1bを上回った。また、M2の対前年比伸び率の下降幅が大きかったことは、主に外貨預金年増率の減少、定期預金と普通預金の減少、業者の支払いと資金調達の結果によるものである。」と説明した。
中央銀行は、「昨年末、米国連邦準備会(Fed)による金利引き上げ予測から、外貨準備高うちの米ドルの保有率が持続している。また、外貨預金も米ドルにシフトしたため、2015年12月の外貨預金残高は4.7兆元の過去最高水準となった。これはドル高予測から、業者の米ドル保有率が高くなったことによるものである」と指摘した。
2015年12月の外国人による台湾元預金残高は1,778億元とここ2年以来の最低となった。これは主に外資が株を売却し海外に送金したことによるものである。外資の株売却について、中央銀行の官員は、「2015年10月までに、外資は株買越しの傾向となっていたが、11~12月は株を売越して資金を海外に送金したことにより反転したものの、金額はそれほど大きくなかった。金融監督管理委員会の統計によると、2015年の外資純流入額は13.72億米ドルとなった」と述べた。
2015年12月の個人投資家を代表する証券振替決済預金残高は、前月比103億元減少の1兆4,167億元となった。中央銀行は、「これは株式市場の低迷や低金利に伴う定期預金やその他当座預金へのシフトなどによるものである」と説明した。
国内外経済予測機構が次々と台湾経済成長率を下方修正したことについて、中央銀行の官員は、「当面の国内経済には多くの不確定要素が存在しており、中国の株価とレートの切り下げ、米金利引上げの動向、石油及び原材料価格の下落、新興市場の経済成長の減速、主要貿易ライバルの動向などは今後景気の先行きに影響を与える要因である」と話した。
(註)
*M1a:通貨発行額。企業・個人(非営利団体含む)の小切手預金および非定期性預金残高の総額。
*M1b:M1aに個人の非定期性積立預金残高を加えたもの。
*M2:M1bに企業・個人の定期性預金残高、外貨預金、外国人による台湾元建て預金残高などを加えたもの。
金融動向表[PDFファイル] [55KB]