中央銀行は10月23日、最新のマネーサプライを発表した。それによると、9月のM1aの対前年比伸び率(期中平均ベース)は+7.52%、M1bの対前年比伸び率は6.62%と2ヶ月連続の上昇となった。M2の対前年比伸び率は+6.50%となり、再びゴールデンクロス(M1bの対前年比伸び率がM2の伸び率を上回る)に逆転し、今後の株式市場の活況を期待できるものと見られている。
呉懿娟・中央銀行経済研究処副処長は、「M1bの対前年比伸び率が上昇した原因は、主に9月に企業及び個人投資家が株式の現金配当を貰い、普通預金の増加を押し上げたことによるものであり、これは季節要因である。統計によれば、今年の株式の現金配当累計額は1.09兆元に達した。また、M2の対前年比伸び率の上昇は、主に銀行貸出及び投資の大幅な成長、外貨預金の膨張効果によるものである」と説明した。
中央銀行の統計によると、9月の外貨預金残高は前月比308兆元大幅増の4.49兆元となった。これについて、呉副処長は、「米金利の引き上げや米ドルレートの切り上げなどの市場の予想から、業者は代金を貰った後、殆ど米ドルのまま資金をストックし、個人投資家も積極的に米ドル買いを行ったことから、外貨預金残高は2ヶ月連続の増加となり、ここ4ヶ月以来の最高となった」と指摘した。
ここで注意すべきことは、9月のM2の対前年比伸び率が+6.50%と中央銀行の目標レンジ(+2.5%~+6.5%)の上位に達したことである。呉副処長は、「世界景気の回復力が弱含んでおり、同行は物価及び金融安定の前提において業者及び民衆に潤沢な資金流動性を与え、経済活動に必要な資金を充分に供給する」と述べた。
また、中央銀行は9月末に利下げ(0.125ポイント引き下げ)を公布した。これにより市場資金がさらに緩み、今後M2の伸び率が目標レンジ(6.5%)の上位を超えるかについて、呉副処長は、「昨年の比較基準が低かったため、目標レンジの上位を超える可能性はあるが、同行は密切に注意を払う」と回答した。
(註)
*M1a:通貨発行額。企業・個人(非営利団体含む)の小切手預金および非定期性預金残高の総額。
*M1b:M1aに個人の非定期性積立預金残高を加えたもの。
*M2:M1bに企業・個人の定期性預金残高、外貨預金、外国人による台湾元建て預金残高などを加えたもの。
金融動向表[PDFファイル] [55KB]